日  時 平成29年7月8日(土) 9:45~11:35
学  校  名 杉並区立東原中学校
実施学年 1~3年生各2クラス(184名) 各クラス2企業の話を聴く
課 程 等 総合的な学習の時間
授業内容 キャリア教育「生き方を学ぶ講座」~企業人の話を聞く会~
協力企業 読売新聞東京本社
 編集局国際部 津田知子様
日本水産株式会社
 CSR部 CSR課 畝尾規子様
日本アイ・ビー・エム株式会社
 グローバル・ビジネス・サービス事業 荒井幹雅様
ヤマト運輸株式会社
 西京主管支店 杉並和泉支店 入澤夢仁様
 西東京主管支店 安全推進課 深谷 清様、岩崎多恵様
あいおいニッセイ同和損害保険調査株式会社 石橋昌祐様
三井住友カード株式会社
     東京お客様相談室 松村秀明様

      

キャリア教育「企業の人の話を聞く会」を終えて

 

第1学年 学年主任 中井 康二

 第1学年では、読売新聞社と日本水産の方に「社会で働くことの意味と価値」についてご講演いただきました。1学年では、2学期に進路学習「職業について」、冬休みには「職業調べ」を予定しており、その前に企業で働く方々のお話を聞けることは導入として大変意義深いものでした。どちらの企業の方も自分の仕事に対する誇りと、社会の中での意義を明確に持っておられ、それをきちんと伝える言葉をお持ちで有り、生徒達にそれを上手に伝えてくださいました。読売新聞社の方は新聞の役割と仕事の紹介を通して、日本水産の方は1つの冷凍おにぎりから、仕事のつながりや広がり、職業の意義を見いだす授業でした。また、それぞれの方の仕事に就くまでのいきさつをお話くださり、中学生がこれから将来を考える時のヒントをくれたように思います。

・生徒の予想される変容

幼児期の単なる夢としての、興味・感心だけの将来の職業ではなく、「働く」ことに対して、様々な職種や仕事内容を理解した上での進路選択の重要性や、自分の理想とする職業につくためには今の中学校生活の中での学びの大切さを再認識することができた。よって、今後の学校生活の中で、積極的、主体的に物事に取り組む意欲の向上につながっていくことが期待できる。授業を受けている生徒達の様子は、素直に驚きや感動を受け止めていたようでした。感想にも、お話に興味を持ち、自分に当てはめて考えていく姿勢が感じられました。2学期、3学期の進路学習に対する意欲的な取り組みが期待されます。

・今後に向けての改善点や要望

読売新聞社の方は穏やかにゆったりとお話になって聞きやすかったのですが、やや声が小さく聞き取りにくかったようです。資料も豊富で飽きさせない内容でしたが、配布物が多すぎると逆に注意が散漫になってしまう傾向もあります。

日本水産の方は元気ではつらつとしてとても上手に生徒達をまきこんでいってくれました。中学生へのメッセージもあり、生徒の心に残ったと思いますが、悩みやつらさや失敗談も聞ければ、より身近に感じることができたように思います。

第2学年 佐々木繁雄

生徒が職場体験学習に取り組む中で、BtoBの企業である「日本IBM」と、BtoCの企業である「ヤマト運輸」との、両者の話を聞けたことは大きな価値をもつことであったと感じる。また、授業において、生徒たちが職場体験に関するプレゼンテーションを行う予定の中で、今回、見本となるプレゼンテーションを見ることが出来たことは、生徒達にとっても勉強になったのではないかと考える。

日本IBMについては、生徒たちにはなじみが薄く、また、具体的な仕事内容が見えにくい企業でもあるため、生徒の中には、理解が及ばない者がいたのではないかという点が気がかりであった。

ヤマト運輸については、率直に言えば、こういった講演会やプレゼンテーションに熟達しており、大変計画的でスムーズな講演になっていたように感じた。

・生徒の予想される変容

職場体験で赴く事業所はほとんどがBtoCの企業であり、生徒達の認識としても、世の中にBtoBの企業が存在することには気付きにくいものである。今回の講演を踏まえて、仕事に対する見方や考え方が広がったり、職業や職種について新たな知識を得たことで、職場体験に対しての理解や意欲が一層向上すると考えられる。

今回の講演を通して、自分が知っている企業や有名な企業だけが将来の選択肢ではないということに気付くことで、将来、自分の進路を考えるに当たっての選択肢を増やすことができるようになると考えられる。

・今後に向けての改善点や要望

今回は器材トラブルなどは無かったが、次年度以降も考えられるので、学校の器材や配線状況をしっかり伝え、こちらがどこまで何を準備すれば良いのかがもう少し明確になると良い。

それぞれの企業によって、プレゼンの質や、慣れているかどうかに大きな差があった。こちらからあまり注文はできないが、もう少し質の高いプレゼンなどをしてもらえるとありがたいと感じる場面があった。

第3学年担任 菊地 祐太

子どもたちにとって、親と近い世代の働く人の話を聞く機会はとても貴重な経験となりました。今回は損害保険会社とクレジットカード会社という生徒にとってなじみのない企業で、話しの内容は少し難しかったように感じましたが、生徒は興味をもって集中して聞いていたように思います。今回は企業や仕事内容の説明が中心でしたが、それよりもどのようなことを感じながら仕事に取り組んでいるのか、その人の感じる仕事の大変さ、やりがいなど、働くことの意義について生徒が考えられる授業だったらより良かったように思います。

・生徒の予想される変容

難しい内容でしたが、生徒はよく授業に参加していました。進路を考えて行く上で、将来のビジョンを描く良い材料となったように思います。

・今後に向けての改善点や要望

企業の説明ではなく、働くことの意義についてなど、授業者が日々感じている生の声を聞くことができれば良かったように思います。どうしてその職に就こうと思ったのか、学生時代の経験で生かせたことなどを話してもらうことで、親と近い世代の人がどのようなことを感じているのかを聞くことが出来ると、生徒たちにとってはキャリア教育以上の学びがある。 

《生徒の感想文から》(抜粋)

第1学年

《講師 読売新聞東京本社 津田知子様》

○新聞を作っている人の部署がたくさんあってとてもすごいと思いました。取材をしたり、写真を撮ったり。取材といってもたくさんの仕事があって大変だなと感じました。お話しを聞いて、私たちがふだん読んでいる新聞も多くの人たちの手によって作られていることが分かりました。

○私は、今まで、家族が読んでいる新聞の興味のあるところを流し読みしている程度だったのですが、よく読んでみると、最近の出来事など、興味のあることがたくさん書かれていることに気づきました。なので、これからは、もっと興味を持って新聞を読むようにしたいと思いました。貴重なお話しを聞くことができてとてもよかったです。

○1部の新聞が多くの人が時間をかけてできていることがわかり、毎日家に届いている新聞一つ一つにありがたさを感じました。今まではずっと新聞は難しそうだと思い、テレビ欄しか見ていなかったけれど、お話しを聞いて全部を読まなくても見出しやはじめの段落だけでもいいと分かり、すこし読んでみようと思えるようになりました。

《講師 日本水産株式会社 畝尾規子様》

○私は中一ですが、少しずつ高校進学のことも考えています。なので、お話しを聞いて、「いろんなことに興味を持つ」、「誰にも負けないといえる強みを見つけて」、「すべては誰かのしごとでできていることを知って働いている人に感謝して」という言葉が心に響きました。

○今日お話いただいた3つのメッセージ。1、興味、2、強み、3、ありがたみ。私は今までこの3つのことを全然意識しておらず、ただ目の前にあるものだけに興味を持っていたけれど、自分の見えない所にも面白いものがあったり、強みなんて考えてもいなかったし、感謝などしていなかったけれど、これからはこの3つのメッセージを大切にしていきたいと思います。

○お話しを聞いて、1つ1つの物ができるまでにたくさんの人々が手をかけていることが分かました。それからは、物を使うとき、今使っている物ができるまでに何人の人の手が入っているかに興味をもつようになりました。

第2学年

《講師 日本アイ・ビー・エム株式会社 荒井幹雅様》

○IBMと聞いてもどのような仕事をしているのかよく分からなかったけど、じっくり話を聞くと、いろんなことに関わっていて、大切な仕事なんだなと思った。このような仕事につくのは大変で難しいと思うけど、今からでも、自分がつきたい仕事につけるよう頑張って、いろんなことに挑戦していきたい。

○今回、日本アイ・ビー・エムという会社のについて聞き、感じたことは、どの会社にも喜べる仕事やつらい仕事があること、チームで達成するということがとても大変なことだということが分かりました。特に100人以上のチームで1つの仕事をしたり、お客様の願う意見にたどりつけなかったりだとか、とても大変なことであり、終わると達成感があると感じました。

○実際仕事をしている方の話を聞いて、前から考えていた「仕事は楽しいのか」という問題が解決したり、IBMさんがどのような内容の仕事をしているのかが分かったとか、沢山のことが得られました。聞いていてすごく楽しかったし、質問も出来たし、すごくありがたいなと思いました。

《講師 ヤマト運輸株式会社 入澤夢仁様、深谷 清様、岩崎多恵様》

○普段あたりまえのように頼んでいたけれど、遠くまで運ぶには移動時間もすごくかかるし、移動する場所も思っていたより多くて、すごく大変で常に責任感をもっていなくちゃいけない仕事なんだなと思った。自分も、将来、人のためになる仕事がしたいです。

○8日は色々なお話しを聞かせていただき、ありがとうございました。クロネコマークはよく見かけていますが、ちゃんとした意味があることを知り、驚きました。また、ネコロジーのお話しを聞いて、地球温暖化のことも考えて仕事をするなんてすごいなと思いました。私も将来、社会の役に立つ人間になりたいと思います。がんばります。

○お話を聞いて、たくさんの工夫をして荷物を届けているとういうことが分かった。また、一つの荷物を家から別の家に届けるまでたくさんの作業をして、短時間で届けているのはとてもすごいと思った。これからは、荷物を受け取る時、感謝の気持ちを忘れないようにしたい。貴重なお話しを、ありがとうございました。

第3学年

《講師 あいおいニッセイ同和損害保険調査株式会社 石橋昌祐様》

○お話しを聞いて一番心に残ったのは「自ら考え、判断し、行動する」という言葉です。仕事をする上でも大切なことだと思いましたが、今の自分に必要だと思う言葉でした。保険会社のことはあまり知らなかったのですが、お話しを聞いて、自分でももっと調べてみいたいと思いました。

○誰と働くか、誰のために働くかという言葉が心に残った。将来、どんな場所で働くか、誰のために働くかということを考える良い機会になった。これから自分にふさわしい「志」を見つけられるよう、がんばりたいと思う。

○今日まで、保険のしくみについて、あまりよく分かっていなかったけれど、お話を聞いてよく分かった。働くときの心がまえも、ためになるもので、聞いていてすごく参考になった。さらに、会社はお客様と社員とが満足できることで成り立っているのだなと、改めて思った。きっと苦労もあるだろうけれど、ムービーで写っていた社員さんを見ていると、どの人もキラキラしていて楽しんで働いていることが伝わった。

《講師 三井住友カード株式会社 松村秀明様》

○今回のお話をで、カードには、お金をかしこく使う頭を育てますが、信用を失ってしまう怖さもあることを知りました。私は「判断力」と「柔軟性」という言葉がとても印象に残っています。物事を多面的にとらえることの大切さも学びました。私は将来、自分の夢を叶えるために働き、生きていこうと思います。

○今日の話を聞いて、仕事というものをいろいろの角度から多面的に見ようと思った。普段見ている景色なども違って見えるかもしれない。しかし、今の私はまだ物事を多面的に見ることが難しい。なので、少しずつでもその力を広げていきたいと思った。

○今日の授業で、カードの仕組みがよく分かった。今までどこでお金のやり取りがされているのかあまり考えたことがなかったけれど、お話を聞いて、その仕組が理解できた。また、カードは自分の人格や行き方にも関わってくるんだな、と思った。さらに今日の授業は、働く意味についても深く考える良い機会になった。