「改めて考える子育て 」ニュース・レターNo32より
皆さん、明けましておめでとうございます。今年こそ、気分一新、健やかな1年にしたいものですね。
国にこども・家庭庁が作られると伝えられています。これを契機に、いじめなど目に見える課題の解決とともに、子どもたちが生きるこれからの社会を見通して、今の家庭、学校、社会の子どもたちへの接し方が根本的に見直されることを期待したいものです。
その意味でも、関係者には、昨年のおやじ日本の全国大会の議論に注目してほしいと思います。身近に迫ったAI社会で生きていく今の子どもたちにどんな力をもってもらいたいのか、今のままの子育てでよいのかがテーマでした。AIの進歩は、これまで以上に、人間に強さを求めるもので、AIに頼りすぎず、振り回されずに、これを活かすことのできる力、結局自分でものを考え、決めていく力を持てることが大事だ、それを育てるには、今の家庭や学校教育のままでは心もとないとの議論が交わされました。いくつかの若者の意識調査が、世界の各国と比べ、今の日本の若者の自尊心の低さや自分で国や社会を変えられると思う者が少ないことを衝撃的に示していることが紹介されました。
その背景には、私たちが家庭でも学校でも、子どもたちに手をかけすぎ、与え続ける教育の在り方が主体性を育てることを妨げているのではとの指摘がありました。考えてみれば、多くの親は、良い大学に行けばよい就職先が得られと思って、良い中学、良い高校に行かせたいと子どもを勉強に追い立ててきました。子どもは、勉強ができないと大した一生は送れない、と思うようになりがちでしょう。そこには社会性のある、自信に満ちた若者像は見えてこないように感じます。
これまでもこの問題に警鐘を鳴らす方々は少なくなかったのですが、実際には今も調査が示している状況が続いています。何をどうすれば問題解決の糸口が見えてくるのか、私は、かなり大きな社会変革が必要と感じています。だって、環境問題を含め、これだけ地球や社会が急速に変わっているのに、必要とされる人間の強さや知恵も変化して当然でしょう。それに対応できない人間や社会は衰退するでしょう。ダーウィンの進化論ではありませんが、その社会は自然淘汰されるのは必然です。今までのやり方で良いはずがありません。
それに気づかず、漫然と新しい時代を迎えるのは今を生きる大人の怠慢でしょう。そんな風に考えて、私たちは、早速ヨーロッパやアジアではどのような子育てがなされているのか、調べ始めました。その模様は、このニュースレターで紹介しますが、驚いたのは、スウェーデンでは大方、親は子どもの将来についてあれこれ言わず、ただ、幼いころから何をして生きていくのかを考えさせるだけだそうです。勉強しろとかこの大学に行ったらどうだとか言うことはないのだそうです。子どもたちが自分で考え、選択するものだというのです。福祉が行き届いていて、親が心配する必要が乏しいことも影響しているようです。ドイツでは、小学4年生で大学進学を目指すのか、早く就職することとするのか決めさせてきたシステムが揺らぎ始めており、選択を少し遅らせようとか、親は大学に行かせる方に傾いて子どもに勉強させようとするとかの傾向が生れてきているとのことです。しかし、両国とも子どもの自主性を重んじることでは共通しています。
他方でアジアはわが国と同じような傾向がある国もあります。韓国がそうですし、中国もそうだと聞いてきました。ただ、報道では、中国は、最近、私立小・中学校目指して塾通いをする状況を改める動きが生じています。
何が良いのかは簡単には言えませんが、それぞれの良い所を知り、子どもたちにとっても社会にとってもハッピーな子育てとなるように、根本から考え直してみることが大事だと感じています。子どもたちが自分の好きなこと得意なことに磨きをかけて、自信をもって生きていけるようにしたいものです。
大きな問題ですので、国にも本格的な検討を始めてほしいと強く願っています。こども・家庭庁設置の議論には、このような大きな視点が欠如しているように見えます。私たちおやじ日本の議論はほとんど大海の一滴のようなものですが、どこかでチャンスを得て、大きな動きになればと願っています。今度の全国大会がそのきっかけになれるよう、全力を尽くします。
また、私たちの活動のもう一つの柱である未来教室は、コロナで大きな影響を受けましたが、徐々に元に戻りつつあります。ニーズがあることを実感しており、しっかりやっていきたいと思っております。
今後とも皆様のご支援、ご協力をお願いいたします。