日  時 平成27年12月21日(月)13:35~15:10
学  校  名 杉並区立荻窪小学校
実施学年 6年生 4クラス(128名) 合同
課 程 等  総合的な学習の時間
授業内容 キャリア教育「未来を見つめて 自分を見つめて」②
「触れる」・・・心を形に!(「マナー教室」)
協力企業 リーガロイヤルホテル東京
 宿泊部 フロント課 及川忠彦様

s-荻窪小学校① (2)  s-荻窪小学校②  s-荻窪小学校③ (2)  s-荻窪小学校④ (2)

 

「マナー教室」 を受けて

第6学年主任 坪池 学

 日本には古来より「おもてなし」の精神が脈々と流れています。間違いを恐れず強いて言わせていただくとすれば,自己満足に浸るのではなく,向き合う相手の満足度や幸せ感の高揚を第一の目的としており,物質的な充足に留まらず精神的な心を尽くすことに大きな徳が内在されていると理解しています。 本日授業をしてくださったリーガロイヤルホテル東京「マナー教室」では,自らを美しく,そして相手に失礼を与えない振る舞いの基礎を丁寧に教えていただきました。中学進学を3カ月後に控え,小学校生活を振り返りまとめようとする時期と重なったことも手伝い,参加した児童129名全てが「自己の就職の際に」「卒業式で品良く」といった近未来の自己をイメージして臨むことができました。
ですが,この授業が抱く価値は,未来の自己をよりよく周囲に映し,「好感」を得るための方策だけを伝えていたわけではないと思われます。児童は日常生活で,今も多様な価値観を持ち合わせる周囲の者と協力,協調し,穏やかな社会を築いていきます。そして時には相容れない者とも新しい価値を創造していくことが求められています。ですから,将来を見据えながらも,接遇のノウハウに象徴される「おもてなし」の精神を「今,この瞬間」も向き合っている周囲の者に示してほしいという強いメッセージが込められていると感じました。
『「あいさつなんてすればいいんでしょ。」って思っていた自分。この授業を受けて,前までの自分が恥ずかしいです。前の自分は満足していました。でも,今は違う気持ち。ホテルの人は相手よりも早い挨拶を毎日繰り返す。なのに自分たちは心がこもっていない挨拶。こう思うと,この授業を受けて良かったと思う。今まで人と目線が合うことのなかった挨拶。今日,笑顔で出迎えた挨拶。みんなの表情は“笑顔”だった。学んだことを生かし,やってみた結果こうなった。集団で挨拶をすると,みんなから挨拶が返ってくる。授業が必要なのはこのためなんだ。自分たちのためなんだ。今まで行ってきた挨拶。それよりもっと気持がこもった挨拶。みんなはどっちの挨拶をしたら喜ぶか。気持がこもった挨拶の方が喜ぶのだ。私が改めて実感したことだ。(授業後の児童の振り返り 一部抜粋)』
本校では今年度より,全校児童を代表して6年生が4週間ごとに2つの校門に立ち「挨拶キラキラ運動」に取り組んでいます。また,「心を形で示す」との狙いから「5秒の礼」を9月より取り組んでいます。ただ,取り組みが毎日のことであり意識の中でルーティーン化され,いつしか「義務」や「担当だから」とルーズな雰囲気が漂い始めていました。上述の振り返りは,まさにそのような姿勢を自ら正し,再度取り組む価値を捉え直している児童の主体的な姿が見られます。この授業がもつメッセージが児童の意識を喚起しているものと受け止めています。
キャリア教育が盛んに取り組まれて久しいですが,本授業が,職業紹介にとどまることなく,現在の自己の在り方を見つめ,生き方に思いを寄せる教育的価値に富んだ授業であったこと,非常にうれしく,そして光栄に思っております。講師を務めてくださったリーガロイヤルホテル東京の及川様,そして学年の状況を鑑みてコーディネートしてくださった「おやじ日本」の皆様には大変感謝をしております。ありがとうございました。