日  時 平成28年2月25日(木)10:45~12:20
学  校  名 杉並区立荻窪小学校
実施学年 6年生4クラス(128名)2クラスずつ2時間授業を並行して実施
課 程 等  総合的な学習の時間
授業内容 キャリア教育「未来を見つめて 自分を見つめて」③
「見つめる」・・・「未来の名刺」教室
協力企業 ワタミ株式会社
 広報・CSR室 松井大輔様
 人材・ブランド本部 採用・教育部 近藤 巧様
 同ブランド推進部 芦野恵理子様

s-荻窪小学校① (1)  s-荻窪小学校② (2)  s-荻窪小学校③ (1) s-荻窪小学校④ (3)  s-荻窪小学校⑤  s-荻窪小学校⑥

「未来の名刺づくり」教室を開いて

第6学年主任  坪池 学

 昨今,熱さやひたむきさが疎んじられ,何事もそつなくクールに受け流すことが,ある種の格好良さに映る風潮を感じます。周囲の嘲笑や冷やかしから自分を守るための手段の一つとして,真剣さを隠す児童さえ見受けられます。「冷めてる」児童の増加は,自分の趣味や好きなことなどを周囲に堂々と伝えることを恥ずかしい行為と捉え,平然を装っている児童の増加ともいえるのかもしれません。だからでしょうか,「将来の夢を語る」ことは,現代の児童にとって恥ずかしさの最高峰ともいえる活動なのかもしれません。
その雰囲気を一気に崩したのが,今回受けさせていただいた「未来の名刺づくり」教室でありました。
「夢を文字にして表そう。」「いつまでに,どのようなことを実現するの!?」 講師の方から発せられる言葉には力が込められていました。
「好きなことを夢にしよう。」「得意なことをしている自分を想像しよう。」 夢を抱けない自己が否定されず,今からでも,どんな夢でも抱くことができることを促していました。
「私は,海外で子どもの笑顔を生み出したい。だから5年後に~~をする。」  本校の近隣で“わたみの店長”を営んでいる講師の方が堂々と夢を語ります・・・。
夢は子供だけが抱くのではなく,大人でも抱くものであること。夢は1つでなくてよいこと。誰が笑顔になるかという周囲の中の自分を意識させること。授業の中で語られる講師の方方の言葉一つ一つは,児童の既成の価値観を柔らかくほぐしていきました。「私,○○が好きなんだよね。」じっと黙ったままの児童が,次第に隣に話しかけ始めていきます。表情が柔らかくなっていきます。
授業の後半,作成した名刺を交換する活動が展開されます。所作の一つに「描かれた夢を笑わず,応援する。」ことが上げられました。笑われず,好意的に受け止めてもらえる環境を設定することで,児童は初めて安心して自己開示ができます。「あなたならできるよ。頑張って!!」と応援や励ましをもらえるから,自分に自信が抱けます。周囲の夢を応援してみようという気持ちも生まれます。夢を共に実現しようという想いも抱くのでしょう。
卒業を控えたこの時期,将来の自分をイメージする作業はどの小学校でも取り組まれることと思われます。そのアプローチの一つとして,世の中の職種を調べ視野を広げることも考えられるでしょう。経験者に話を聞くことも大いに効果があると思われます。ただ,描いた夢に向かい,自分がどのような努力や練習を重ねればよいか。自己のキャリアを自分でデザインする力もまた小学校段階で養いたい資質の一つであると考えます。もし途中で夢が変われば,またデザインし直せばよいのです。何度でも描けばよいのです。授業を司る我々指導者にもまた大いなる学びが含まれていました。
第6学年のキャリア教育の集大成ともいえる今回の授業を提供してくださったワタミ株式会社の皆様には,心よりお礼を申し上げます。素晴らしい授業でした。ありがとうございました。
そして今回,年間を通して3回の未来教室を開催させていただきました。未来を見つめることは自己の在り方を見つめることに他ならないこと,本校の児童に気付かせていただきました。児童一人一人に精神的な成長をもたらしてくれました。ご無理を承知で,本校のキャリア教育の充実に寄与してくださったおやじ日本の皆様には,心よりお礼を申し上げます。ありがとうございました。